マーケティングって何だっけ?
原点回帰ということで、少し専門分野のマーケティングについて書いてみます。
注:私は、あくまで研究者見習いであり、ビジネス現場の人ではありません。
【マリアージュポイント】
・「ドリルを買う人が欲しいのは〝穴〞である」
【解説】
これは、1960年~70年に出版されたT・レビット博士の著書「マーケティング発想法」の冒頭に ある格言です。
《参考》
- マーケティング発
想法 - ダイヤモンド社
- 本
- マーケティング発
マーケティングを学んだ学生ならほぼすべての人がこの話を知っています(知らない人は相当のもぐりか噓つきといっても過言ではないでしょう)。
ドリルを買うお客様の求めるものは、ドリル本体ではなく、〝穴〞。究極、穴が空けばキリでも良いということです。我々は、日常生活の中で、サービスやモノを〝手段〞として何らかの目的を成しえているのではないでしょうか。
では、この言葉は誰の言葉でしょうか?
この問いに答えられる学生は3%程度だと思います(経験に基づく推測)。実はこの言葉自体は、レビット博士の言葉ではないのです。文中で、レビット博士は、レオ・マックギブナという人の言葉を引用しています。
以後、40年以上マーケティングの世界ではこの言葉が引用されてきました。この言葉は、私がマーケティングを専門に学ぼうとなったきっかけの言葉です。
人によってこの言葉は大きく解釈が割れることも少なく、ある意味では、定番的で普遍的な言葉です。今日もこの言葉を通じて考えることがありました。
【ケーススタディ:ライザップは高価なサービスだが、なぜ売れていたのか?】
最近は、企業情勢の悪化によりめっきりCMを見なくなったライザップ。
彼らの勢いは記憶に新しいのではないでしょうか。
私自身も、その当時、学会誌にライザップに関する記事を投稿したことがあります。
私の問いは「ライザップは高価なサービスだが、なぜ売れていたのか?」です。
結論から申すと、前半部分は既に間違っていました。
ライザップの商品は何でしょうか?
・痩せること?
・トレーナーの熱心なサービス?
・最新のトレーニング?
すべて正解です。しかし、私は最近、このサービスの意外な付加価値を認識しました。
それは・・・
「信用(Credit)」です。
他者からの信用とはお金では評価出来ないものです。ライザップは、サービスを提供し、信用(Credit)の一部を販売したのではないでしょうか(太っている人が信用できないという話ではなく、変化を恐れないというビジネスパーソン的思考の話です)。
お金で評価できない付加価値を、結果として提供できてる印象を与えるCM。多くの人は、付加価値を無意識的に認識し、入会に至ったのではないかと推察しています。
これらの人にとって、そもそもライザップのサービスは〝高い〞買い物ではないのです。
マーケティングとはこのようなことを言うのではないでしょうか。
もちろん、マーケティングに正解は無いと思います。正確には、Bestは無いと思います。しかし、Betterは一定数存在しているとも感じます。
マーケティングを研究する我々は、そこにエビデンスを持って答えを報告する必要があります。もし、このブログを読んで頂いている方でマーケティングの現場の話が出来るかたがいらっしゃいましたらコメントにて率直な感想や意見をいただけますと幸いです。
【この話をもっと詳しく知りたい方へのオススメ】
- ドリルを売るには穴を売れ
- 青春出版社
- 本